写真はしめ鯖
昨日のバッテラの副産物?
しめ鯖も美味かったー
八嶋の想い出
昨日の記事を書いていて、また小さな頃の想い出がよみがえった
昨日の記事の寿司屋「八嶋」であるが、父に良く連れて行ってもらった
それもなぜか私一人だけ
まだ小学校低学年だった私には見るものすべてが新しく楽しかった
メニューなどないし、カウンターに座って注文することもたいへん難しかったし
カウンターの一段高いところとはいえ、食べるものを皿などを使わず、直に置くことも新鮮
それを手づかみで食べることにも驚いた覚えがある
八嶋の店主である職人を父は「せいやん」と呼んでいた
せいやんはどちらかというと無口な職人気質な男性であったと記憶するが、私には優しく接してくれた
私はまだ幼く、魚の味などは到底分らなかったので、イカとエビを交互に注文した覚えがある
それも「甘いタレ」を塗ってもらって食べた
そんな大きな握りではなかったが、私が食べにくそうにしていたら、せいやんは包丁で2つに切ってくれたりもした
私がイカとエビだけを、それも甘いタレで食べていたものだから、
父は「そんなタレがええねんやったら、握り飯にタレ塗ってもろたらええんちゃうか」などと言ったのだが
せいやんは「握り飯とはちゃうやんなあ」と私の味方をしてくれた
ある時、せいやんがトコブシを煮ていた
その頃の私にはそれがトコブシであることなど、分るわけがなかったが、
あわびのちっちゃいのが醤油で味付けられている、その美味そうな匂いがたまらなかった
父にこそっと「あれが食べてみたい」と頼んだ
いつもの父なら「自分で言え」と言う場面だったと思うが、その時の父は
「せいやん、こいつが『それ』食べてみたい言うとんねんけど、それ、明日の仕込みか何かであかんやんなあ?」
背中で聞いていたせいやん、鍋の中のトコブシをひとつつまむと、くるっと振り向いて、私の前に置いてくれた
カウンター上部に直に置かれた美味そうな「トコブシ」
「よかったな」と笑う父
背中のまま、仕事を続けるせいやん
今思うと映画みたいだった
その後
私が東京に出て来てしばらくしてからだと思う
大阪に行く機会があったときに「八嶋」を探しに行った
幼い時の想い出だったので、場所もうろ覚えであったが・・
「八嶋」は跡形もなく、都市開発でその「ガード下」一帯が消滅してしまっていた
せいやん、「大きくなったら浅丘ルリ子みたいな彼女を連れて食べに来てくれ」って言ってたなあ
なんだか胸が熱くなった